流星ワルツ




「心、…その着物にしたのね」

「お母様の一番お気に入りで、御迎えしようと思うの。お母様の一番ですもの、どんな男性でも綺麗と思ってくださるわ」


あたしは、大丈夫だから。そんな顔しないで、お母様。

もう、大丈夫だから。



「心…っ、まだ今なら…っ」

「娘の顔合わせなんだから、お母様も気を抜かないよう、頑張ってくださるわよね?姑問題に関わってきてしまうわ」


いつものあたしなら、こんな軽口なんてお母様に叩かないのに。今日は許して。口があたしの言うことを聞いてくれないの。


「あら、綺麗ね」

「叔母様、御立ち会いありがとうございます」

「相手の御家は渡瀬家に並ぶ古くからの歴史ある一族ですからね、私もご挨拶申し上げたいもの」


優しい方だといい。
暖かい人だといい。


そして、何より……。



「心、お見えになった」

「はい、お父様」



彼に、似てるところが全くない…人がいい。