「ね、ナツ」
話し合った帰り道、しぃと少し遠回りをしてみた。しぃが…帰りたくなさそうだったから、連れ出してみた。
「…ん」
「なんで、神様は好き、なんて感情を作ったんだろうね?」
「……」
「好きでも結ばれなかったり届かなかったりするもん。それなら…好き、なんて感情なかった方が良かったよ」
しぃ、誰を思い浮かべているの。
「……そうかな」
「え?」
「…好きって…たしかに悲しかったり辛かったりする時も…あるけど、…俺は…逆に…そうゆうのが…あった方が…いいかな」
「どうして?辛いんだよ?」
「…悲しい分、その人が好きって…、前よりもっと好きって…確信できるから」
ねえ、しぃ。
ちっちゃい頃から見てきたんだ。ちっちゃい頃から、しぃを見て、しぃに失恋して、しぃに恋してきた。
……だい、すきだよ。
「そっかあ、…好きに確信かあ」
照れた横顔も愛しいのに、君が想うのは、チガウヒト。

