作戦は、実にシンプルなもの。
ただ、…心を奪うだけ。
「…みんな分かってると思うけど、これには大きな犠牲を払う可能性がある」
「……そうだよ…ね」
「……ん」
いわば、これは政略婚約に近い。…御家間の契約などを全てゼロにする可能性が…高い。
わかってるよ、…でも。
「お前ら、あいつ助けたいんだろ」
心を…助けなきゃ。
音弥の鋭い視線が俺たちの間を走り抜けた。
「心んちのことだ…、丸裸で顔合わせを行うわけがねぇ」
「そうだよね…っ!!まず、そこ突破しなきゃダメだよね!」
「…それは、難しいよ。確実な…方法にしなきゃ。2度目は…ないもん」
「どっかに心を呼び出すってことかよ?」
「まず、相手側に顔は1度は見せねえと、渡瀬家の信用問題とかに関わるから、そのあとだな」
しん、とみんな黙って眉間に皺をよせた。
「みんな」
そんな空間に流衣の声が響く。
「俺らの目的は…心の見合いをぶっこわすことじゃねえ」
「…流衣、わかってるよ。音弥もしぃも俺も」
心の本当の声を聞きたいだけなんだ。

