心。
「……ね、それ、いつ?」
「顔合わせ?…今週末だってさ」
この前、受け取り損ねたボール今やっと受け止めたからさ。
「…みんな、暇?」
ボール、心に返さなきゃでしょ?
「ナツ、何言って…」
「おい、流衣。お前、代わりにナツに言わせてんじゃねえよ」
だから、直接…手渡しで返すね。
俺の気持ちと言葉、皆の気持ちと言葉。
ボールに乗せて、返すから。
「……っこれが正しいことかは分かんね」
「…流衣っ!」
だから……ちゃんと、受け止めてね。
「力を貸してくれ…っ」
流衣の赤くなった目が真っ直ぐに俺たちを見ていた。悔しさと怖さと決意が混ざった視線に俺は、ふ、と息を吐く。
「おせーよ、馬鹿流衣」
「あったりまえだよ…っ!!」
流衣の方へ歩いていき、ぎゅっと抱き締めた。
悩んだと思う。
自分がすることは、本当に正しいことなのか。心の将来と心の…本心。だけど、いま、あの家に心の本心の味方がいないなら俺たちがなってあげなきゃ。
「…流衣、頑張ろ」
「…おうっ!」
守りたいのは。
───大切な人の笑顔。

