…心、と思わず名前を呼びそうになった。
─ジャリ…ッ
踏み締めた砂利がその張りつめた空間に水をさすかの如く、鳴る。
「誰かいるの…っ?」
心の叔母さんがすごい形相でこちらを睨みつけ、音を鳴らした犯人を見つけようと目を走らせた。
ここからまた、安全なところに隠れなきゃいずれ見つかる。しかし、動いたら、それもまたバレる。
…どうする?
視線を上げるとちょうど物陰の隙間から心と視線が重なった。心は一瞬驚いたように目を見開いたけど、臨機応変に対応した。
「!」
口パクで何かを伝えようとする心の口を凝視する。
(あ・た・し・の・へ・や)
俺は頷いて、足をそっと動かした。
「叔母様、何もいらっしゃいませんわ」
「……」
「最近、野良猫が入ってきたりもするので、それかもしれません」
「…まあ、いいわ」
ゆっくりと移動する俺の耳に届く2人の会話。感情を殺したような静かな心の声。
「話は進めておいてください。申し訳ありませんが、学校の勉強がありますので失礼させていただきます」
お前の本心はどこに隠れてるの?

