何を隠してる?…なんて聞かないから。心が俺たちに隠し事するなんて、よっぽどなんだから。


ただ、そのことで心が辛い思いをしているなら俺は、俺たちは無理矢理でも介入してやるからな。


…1人で抱え込むなよ、頼むから。



妙に青すぎる空から顔を隠すように手で覆って、溢れ出す沢山の想いを抑え込む。


「…流衣」

「ナツ、俺…好きな女が何に苦しんでるのかも分からないのかよ…」


知ってる。心は何時だって、全部は共有させてくれない。


「おい、流衣」

「音弥たちみたいに、…器用な奴だったらなんて考えんだ」


心の奥深くに眠る想いは、ずっと“アイツ”だけ。俺に、たまに見せる寂しそうな表情の想い人。


「流衣の…っ、流衣のアホたれー!!」

「!?」

「仕方ないじゃん!!流衣が不器用なのは…っ!!」

「…しぃ」


泣きそうに顔を歪める紫苑がもどかしげに俺の前に立つ。



「でも…っ、流衣はその分、いっちばんに真っ直ぐだよ!!」

「…そうだよ、流衣」

「馬鹿みてえに真っ直ぐなのがお前の良いとこ、なんじゃねえの?」



馬鹿みたいに真っ直ぐな俺をいつも見守っててくれる、大切な…6つの瞳が俺を視線で優しく包み込んだ。