心は約束通り次の日には、ちゃんと学校に来た。いつもの心、…な筈なのに確実に遠のいた場所にいるように感じてしまう。

それは、まるでシンクロするかのように俺以外の3人にも伝わった。



「…流衣」

「サボりかよー、皆して」


視界に今まで広がっていた青空を背景にナツが俺を覗き込んだ。



「流衣もだろうが」

「心はちゃんと授業受けてるよーっ」


かったるそうな音弥といちごみるくを飲みながら紫苑もナツの後ろに続いていた。



「心、ハブじゃん」


無理に笑おうとしても、馬鹿正直な俺の顔の筋肉は動いてくれない。かっちこちだ。



「…べつに、ハブじゃないよ」


ナツが囁くかのように、静かに口を開いた。分かってるよ、ナツ。分かってる。


いつもの心なら、俺らがサボったら見張り役という名で着いてきてくれた。


『変なことしないように、よ。授業あとで質問しに行かなきゃいけないわ』




俺らが出てったことにも
先生が俺らを怒る声にも
俺らの席が空白なのにも


今日の心は気付いてないんだ。