「何が…あったのかなってすごい気になって…」
「…俺、今日行く」
何だろう。さっきからのこの焦燥感。今、会わなきゃダメな気がする。…俺が、…後悔する気がする。
「あたしも行く!!」
「…俺と音弥は、生徒会のお仕事だ」
「……ちくしょ」
『──流衣』
早く、この意味の分からない焦りから抜け出したい。
その為には、会いに行かなきゃいけねぇんだ。
……とは、言っても。
「紫苑、どうする?」
目の前には渡瀬家への入り口。かたく閉ざされて、まるで俺たちを拒むかのように立ち塞がっていた。
──チリン
「……?」
「流衣、どうし」
──…チリン、チリン
「紫苑、鈴の音だ」
「!!心の髪飾りの鈴の音!!心、部屋から外に出てるんだよ!!」
家にいるときは、着物を着ている心。その時に、髪をまとめるのに使っている髪飾りは、昔から心の目印だった。
「裏!!流衣、裏だよっ!」
「おま、耳良すぎだろ!!」
「ふっふっふっー!!行くよっ」
──…心。

