こっぴどく叱られた紫苑は口を尖らせ、俺たちの元に歩いてきた。


「寝坊したのかよー?」

「してないですーっ!!あたし、流衣んちの車見たもん」

「まじで?だって俺、今日朝練してたからすっげえ早かったぞ」


じゃあ、何故こんなに遅れたんだ?という疑問は紫苑の次の言葉で消えた。


「心の家、寄ってきたの」

「どう…だった?」

「どうも何も会えなかった。お手伝いの千世さんしか応対してくれなかった」


紫苑はすぐに顔にでる。それは、それで分かりやすくて良いんだけど…あまり分かりたくないことも知ってしまう時は辛い。



「…心、なんかあったの?」

「何もねぇとは言わせねぇからな」


眉間に皺を寄せて、何かを考え込むようなその表情に得体の知れない焦燥感が襲ってきた。



「なんか…心んち、変な感じがした」

「…変?しぃ、…何があったの」


紫苑がぽそり、と始めた話に俺たちも眉間に皺を寄せざる得なかった。