音弥がだるそうに壇上の真ん中に立つと、あちらこちらの“音弥信者”の男子生徒やファンの女子生徒が声を洩らす。



『皆様、これより生徒会長よりお言葉をいただきます。姿勢を正…』

「いい、すぐ終わっから」



姿勢を正させようとした司会の生徒の言葉を止め、マイクを握った。



「…俺は、別に新しい校則がどうのとかはどうでもいい」



流衣は、あちゃーというような顔をして、紫苑はくすくす笑いナツに何かを耳打ちしていた。

もちろん、あたしも大きなため息ひとつ。



「生徒会に面倒くせぇことさせんな、…つーか自分で蒔いた問題は自分で解決しろ。…何も起こさねえなら何しても自由だ」


あたしたちがぽかん、としてるとホール中から割れるような歓声。

今のは、どう聞いても“生徒会長のご挨拶”なんかじゃないのに。



「音弥ー」


前生徒会が座っている席から、宮原先輩の声が飛ぶ。



「生徒が解決できなかったらどうすんの?」

「…仕方ねえから、俺が何とかしてやるよ」


宮原先輩たちのヒューという口笛に生徒たちの歓声。


あたしたちの御披露目は終わったし、心労がひとつ消えた…と思いたいわ…。