放課後になると俺は教科書を急いで鞄に入れて、理奈の所に行こうとした。


「山本君!」

教室を出ようとドアに手をかけると声をかけられた。


振り返ると桜がいた。


「昨日の返事。言ってくれてないよね?」


眉を寄せ俺の顔を見てきた。


「ごめん…俺は…」


言おうとしたとたんに桜が俺に抱きついてきた。


「拓哉は、私の初恋の相手なんだよ?本当に好きなの…」


震えている桜の手。


俺はどうすれば良いかわからず、ただ固まっていた。



「ヤメて!!」


いきなり廊下から声がして廊下を見ると理奈が涙目になってこっちを見ていた。


「~~~っ…」


理奈は俺と目が合うとその場を離れて走って行ってしまった。

「理奈!ゴメン五十嵐さん!」

そう言うと俺は、理奈の後を追いかけた。