「何か隠してるのは分かってたし」
「まぁ簡単に言えば、尾行してたって話ぃ?」
「……あ、そう……」
このふたりだけは敵に回したくないなと思うと同時に、純と葵に隠し事は一切無意味だと分かった。
それが分かっただけでも良しとしようと考えていると、めずらしくモモから口を開く。
「合格って、何」
「ん? ああ。渉がさぁ、危ない奴にハマってるんじゃないかと思ってね~」
「は!?」
ハマってるって、言葉選びに気を付けろ純!
「噂通りじゃマズイから関わるの止めろって言ったのに、聞かなくて」
「ちょ、葵さん!?」
何言ってるの! 何言ってくれちゃってんの!?
「挙句キレて、弁当箱のふた投げてくるんだから。こりゃ俺らが品定めしてやんなきゃな~って思ってぇ」
「黙れ純! てか、ふたを投げたのは別の時じゃん!」
「あぁ、やたら気合い入ってた日だよねぇ~? 勉強かイッタァ!」
テーブルに置きっぱなしだった財布を投げつけて、余計なことばかり言う純を睨んだ。
効果なんて全くないんだろうけど、赤くなるあたしはモモの顔が見られない。



