「モモって呼んでいい!?」
思いのほか大きな声を出してしまって、あたしの顔は更に赤くなる。
言ってしまえばもう理由を話すのに必死で、相槌も答える隙も与えられない。
「あの、今、名前を……電話帳の名前を桃井くんに変えようと思ったんだけど! 友達だし、いつまでも桃井くんってどうかと思ったわけで! それであの、桃井くん髪もピンクだし、似合ってるし、あの……それで、モモってどうかなって思ったんだけど、ダメかな!?」
死ぬほど恥ずかしいと思いながら一気に喋って、あたしは桃井くんの顔を見る。
期待を裏切らないというか、案の定桃井くんは真顔で固まっていた。それがやっぱり、あたしに後悔させる。
……バカ……大体モモって、女の子みたいじゃん。すごい失礼だし、呼ばれるほうも恥ずかしくない?
でも、でも。呼び捨てよりは、いいかなって思ったんだもん。
桃井くんでも、寶くんでもなくて。
あたしだけが呼ぶ、あだ名があればいいなって。



