「なに……っ」
慌てて顔を上げると桃井くんがストローをくわえて、あたしを見下ろしていた。
「も、桃井くん……」
「ん」
「あ、ありが……と、う」
桃井くんはあたしにドリンクを渡してから、席に座る。いきなりのことで、心臓はバクバクとうるさい。
……トイレに行ってたんじゃなかったのか。あ、財布……SAADのやつだ。桃井くんてオシャレ……じゃなくて!
「何で!?」
ビクッと、あたしの声に肩を揺らした桃井くんは、目を見開いてあたしを見つめる。驚いてるのか困ってるのか、桃井くんは口を開いた。
「……嫌いだった? ストレートティー」
「や、そういうことじゃなくてっ。何で……買ってきて、くれたのかと……」
「ああ……喉、乾いたかと思って」
「……」
何で、とか。
多分聞いても意味がない。
桃井くんは、本当にそう思って。勉強してる間、飲み食いしなかったから。本当に、単純にそう思って、買ってきてくれたんだ。
「あと」
「……あと?」
他にも何かあるの?



