それでも君と、はじめての恋を



「――あれ?」


席に戻るとテーブルの上は綺麗に片付けられていて、桃井くんの姿がなかった。


……帰っ、てはないか。カバンあるし……どこ行ったんだろう。トイレかな?


テーブルに綺麗に積まれたあたしの教材やペンケースを見て、治まったはずの熱がまた頬を包む。


……も、桃井くんのバカ……。何なの、綺麗好きなの? 意外過ぎるからもうやめて!


全く意味のない小さな悪態をついて、ギュウギュウと教材やノートをカバンの中に押し込んだ。


そのままおもむろに携帯を開いて、ブックマークから適当にサイトを選ぶ。こうして友達のブログをチェックするのが、あたしの暇つぶしだ。


「ん、何かあったのかな」


クラスメイトのブログを見ていると、新着記事に鍵が掛かっていた。


こういうのは大概、身内ネタなんだよな。


誰でも簡単に見れるのがブログで。でも、親密な人にしか知られたくない記事には鍵を付ける。あたしが思うに、愚痴か、恋バナ。


以前とパスが同じなら、教えてもらったメールを保存してたはず。家に帰ったら見てみよ。


そう思って携帯を閉じた瞬間、目の前に差し出されたものに驚いた。