「は!? え! 何で……っ」
葵が見つめる先に振り返ると、見間違うはずのないモモが確かに立っていた。
な、何で地元に、しかもあたしの家の近くに、モモが……。
少し離れた場所に立っていたモモがこちらへ向かってくると、葵がサラリと状況説明をする。
「桃井、3分前くらいからいたよ」
「教えてよ!」
「だって声掛ければいいのに律儀に話し終わるの待ってるんだもん。超ウケる」
「ウケないよ!」
食いかかるあたしから葵が視線を逸らしたのは、モモが隣に来たから。
「渉に用事でしょ?」
「まあ……うん」
だからってこんな急に来られても困る……!
恐る恐るモモを見上げると、モモまであたしを見下ろしていて目が合ってしまう。すぐさま逸らしたけど、逃げちゃダメだってことは分かっていた。
「じゃあ、あたしお邪魔だから帰るわ」
「待って葵! お茶は!?」
「するか!」
バッサリ切り捨てられたあたしの顔がよっぽどひどかったのか、葵は呆れたように溜め息をついてからあたしの肩をポンと叩く。
「渉、自分に素直でいれば?」
「……大丈夫」
「うん、頑張れ」
二度三度また肩を叩かれても、まさか先程自分で言った言葉に早速首を締められるなんて思わず、込み上げるのは不安と緊張だけ。
「じゃあね」
ひらりと軽く手を上げた葵はあたしとモモに背を向けて、迷うことなく自宅へ足を進めてしまう。
……と、とりあえず。
「――優木」
この状況を整理しなきゃ、なんて思っていると葵を呼び止めるモモの声が耳に入った。
「……今、呼んだ?」
あたし同様に驚いた葵は振り向いて、モモが頷くと「何?」と不審げに眉を寄せる。けれどモモは黙って突っ立ったままで、あたしと葵は目を合わせてお互いに首を傾げた。



