それでも君と、はじめての恋を





「じゃーんけん、……勝つ!」

「うはは! はい、渉の負け〜」

「ドンマイだよ」


勝つって言ったのに、あたしが出したチョキは見事に葵と純のグーに負けてしまった。


渋々カバンから財布を取り出して、ふたりに向き直る。


「何が飲みたいの、お2人さんはっ」

「俺ぇ、ストレートティー」

「あたしカフェオレ」


授業中に、寒いから温かい飲み物が飲みたいと話していたあたし達。


休み時間になったら、じゃんけんで負けた人が3人分の飲み物を買ってくるという、たまにする遊びなのか罰ゲームなのか。


分からないけど、とりあえず今回はあたしが負けた。


「最悪……行ってきます」


「行ってらっしゃい」と言うふたりは、すぐさま教室のドアをバシンッ!と閉める。


白状すぎる! そりゃ寒いからだろうけど、そんな、音が出るほど勢いよく閉めなくたって……!


あたしは悔しさをバネに寒い廊下を突っ切って、急いで自販機まで向かった。