全く関わりのない人だったら笑い飛ばせると思うんだ。最悪って言いながら、それで終わりだと思うんだ。
だけど葵は友達で、誰よりも仲が良くて。落ち込んでいるなら元気づけたいと思うのに、それがうまくできない。
久坂さんとヨッシーと話していても、こんがらがるばかりで。得たかった解決策のひとつも見つからない。
……モモと純は、こうなると分かってたのかな。自分に……あたしに、できるることなんか何もないって。
「……ムカツク」
「渉、さっきからブツブツ怖いんですけど」
「なしたの? 渉ちゃんが浮気されたわけじゃないんだろ? この話題で喧嘩したとか?」
「喧嘩っていうか……まあ、そんな感じです」
できることがないからといって、黙って見守るなんて結局あたしにはできそうにないけれど。
昼間のことを思い出して溜め息をつきそうになると、テーブルに置いていた携帯の着信ランプが光った。
――メール……モモだ。
From:モモ
件名:優木の
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
様子どう?
――――――――――――
「……はい?」
そう呟いたあたしは電源ボタンを連打してメール画面を消すと、バチンッと荒々しく携帯を閉じた。
そのままソファーの肘かけに頬杖をついて、ふたりの視線を感じながらも無言を貫く。
「……喧嘩中の彼氏から?」
「知りません」
「コエーな渉。喧嘩腰のメールだったか」
「違う! 昼間のことをまるでなかったかのように! 普通にメールって! 何なのっ!」
葵の様子、どう?って! その前に何か言うことはないの!? あるでしょ、ないの!?



