それでも君と、はじめての恋を



「フラれたって、なんでまた」

「合コン行ったのバレたんだよなー」


プッと笑う佐野くんの言葉に呆れておにぃを見ると、ムスッとしていた。


「別の学部の奴らとメシ食いに行っただけだろ。女がいるなら合コンと一緒じゃん!って怒って話聞かねーんだからお手上げデスヨ」


デスヨ、と言われても……。


「最初に言っておけば良かったじゃん。女の子もいるけどーって。言うのと言わないのじゃ違くない?」

「いちいち言わないっしょ。別にやましい気持ちなんてないんだからさぁ」


佐野くんの言葉に納得できるようなできないような、微妙な気持ちになる。そんな気持ちが顔に出てたのか、佐野くんは続けた。


「そもそも異性と絶対関わらないって無理じゃん。人間関係ってのもあるし? それを嫌だってヤキモチ妬かれるだけならいいけど、絶対ダメって束縛されんのはなー」

「んー……それはなんとなく分かるかも」

「俺が渉に買い物付き合ってって言ったら断る?」

「えー……佐野くんなら断らない」


おにぃの友達で小さい頃から知り合いだし。でも一応モモには言うと思うなぁ……。分かったで終わりそうだけど。


……あれ。あたしもしかして、モモにヤキモチ妬かれたことなくない?


まあモテないからそんなシチュエーションすら発生しないわけですけどネ!


「とりあえず忘れろって! 次だ次、なっ!」

「あーもー……暫くフリー楽しむわ! 俺モテるしな!」


フラれたと言うのに元気というか、おにぃだけじゃなく佐野くんまで前向きだな。男の子ってこんなもん?


「ねえ。逆にさ、彼女が男とふたりで遊ぶのはどうなの? 友達として」

「えー……お兄ちゃんは正直イヤだけどー、それなりの理由があれば我慢するけど?」


何その、いい男だろ?的などや顔。


「俺は気にしないけど。ってか、俺も好きにするからお前も好きにしていーよって感じ?」

「佐野くんは典型的な束縛嫌いだもんね」

「佐野さ、昔の彼女で付き合った途端すげえ束縛女に豹変した子いたよな」

「あっれはマジなかったわーっ! もはや軟禁レベルだったね!」


ゲラゲラと笑い合うふたりの会話を聞きながら、モモはどうなのかなぁなんて考える。