それでも君と、はじめての恋を



「何ぃ〜?」


純と一緒に振り返ると、明らかに純に好意を持ってると分かるほど、ばっちりとメイクをしたふたりの女子の姿。

キラキラ光るグロスが眩しい。


「今日遊ぼうよー!」

「……だってよ。良かったね、今日の相手ができて」

「渉は〜?」


歩き出したあたしの後ろから追い掛けてくる様子もなく聞いてくる純に、顔だけ振り向く。


「じゃーね」

「うん。気ぃ付けてねっ」


可愛い笑顔を見せる純に溜め息をつきながらも、手を振り返した。すぐにふたりの女の子に挟まれた純を見てから、校門に向かう。


純のことは嫌いじゃない。むしろ好きなほうだと思う。


でも、あのチャラさだけはどうにかしてほしい。別にいいんだけどさ、恋愛の仕方なんて人それぞれだし。


あたしの何倍も経験がある純に言えることじゃないけど、本気で好きになった子ができたらどうするんだろう。


葵みたいに、一途になれるのかが心配。


「って、あたしは母親か」


駅に着いて、改札口に向かいながらひとりで呟いた。