それでも君と、はじめての恋を



「……でも、いつも困ってる」

「それは、そうだけど」

「……ずっと困らせてたら嫌われる」

「ないから」


間髪入れず耳に届いた言葉に目を見張ると、モモは気恥しそうに首を押さえて、それでも目は逸らさずに言う。


「それは、ない」

「……」

「……ないって」

「……」

「ほんとに嫌だったら怒ってるから」


黙って見つめるあたしに耐えられなくなったのか、モモは横を向いて未だに首裏を押さえていた。


さっきまで本当に不安を感じていたのに、モモの言葉で薄れてどこかへ消えていく。


あたしって、単純。



「モモって怒れるの?」

「……俺を何だと思ってんの」


少し呆れたような声音はあたしをバカだと言ってるような気がしたけど、冷たいものではなかった。


そういえば1回だけ、モモを怒らせたことがある。


あの時は凄く怖かったけど、モモが怖かったんじゃなくてモモに嫌われてしまうほうが怖かった。


今だって嫌われたくないとは思うけど、嫌われないように振る舞うよりも好きだと思われる彼女でいたいと思う。


何気ない日常でも、特別な日でも。ああ好きだな、って感じられるようなあたしでいられてるのかな。


好きだって、思われてるといいなあ……。


「嬉しい」


伏せていた目を上げると、モモはテーブルに肘をついてあたしに顔を見せないまま何か呟いたようだった。


「……え?」


今、嬉しいって言った?