「……」
「……」
嵐のあとの静けさというか、何と言うか。
みんなのワイワイとした声は段々と遠ざかっていき、何も聞こえなくなれば訪れるのは静寂と沈黙のみ。
……一体何だったんだろう。
ていうか何で急にモモとふたりきりに……?
前髪を横に梳いてると、モモが眉間にシワを作った状態で振り返った。
いや、振り返ってから眉を寄せたかもしれない。
「ごめん」
「え?」
何が?と聞こうとした言葉は、モモの手があたしの額に触れたことで行き場を失ってしまう。
ガチッと氷のように固まってしまったあたしは首も目も動かなくて、状況が理解出来なかった。
え!? 何!? 何がゴメン!?
サラリと前髪をかき分けられた感覚にやっと視線だけ上げれば、モモは額を見てるみたい。
――あ。ぶつかったから?
「……ちょっと赤いかも」
先程あたしが前髪を梳いていたのを、額が痛いから触ってたと勘違いしたらしい。
申し訳なさそうなモモの表情に思わずフッと、笑みを零してしまった。
するとモモは視線を落として、あたしと目を合わせる。
「大丈夫だよ。痛くない」
笑いながら言えば、何で笑ってるのかとモモはより深く眉間にシワを刻んだ。
「あたし石頭だからほんとに平気。それに、ぶつかったのはモモのせいじゃないよ」
純のせい。
そう付け足すとモモはもう一度だけあたしの額を見てから手を離して、そのまま自分の首裏を押さえる。
「ならいいけど」
完全に視線を逸らしたモモは体勢を変えて、テーブルに肘を乗せた。
離れた距離は僅か20センチ。
あたしはモモの右側に座り直して、距離を10センチに縮めた。



