「ていうか手ぇ繋いでるだけで、え、奇跡?って思うくらいなんだけどちゃんと付き合えてんの?」
ちょっと失礼だな! あながち否定できないのが悔しいけど!
「ねーねー」と店長にからかわれてる様にしか見えないモモに助け舟を出そうと、口を開く。
「ふたりはいつから知り合いなんですか?」
「俺ら? んーと、桃井くんが中3くらいの時から? だよな」
「……ですね」
「まあ最初はすっげえ無愛想な客!って思ってたけどねー。話す様になったのは高校生になってからだよな」
へー……。
「モモの中学時代って想像つかない」
「え?」
「え?」
「……」
店長となぜか見つめ合うあたしの視界の隅でモモが口を押さえたのが見えて、何かマズイことを言った気分になる。
瞬間、「ぶはっ!」と吹き出した店長にあたしは余計戸惑ってしまった。
「モモ……!? お前そんな風に呼ばれてんの!?」
その言葉に、しまった……と血の気が引いていく。自分の中では当たり前だったけど、この反応が普通なのかもしれない……!
「あの、今のは違くて……っ!」
何とか弁解しようとしたあたしの手を引っ張ったのはモモで、見ると、何で?と思うくらい平気な顔をしたモモがいた。
でもこれじゃあモモが恥ずかしい思いをさせられるんじゃないかと不安になっていると、モモは店長を見据える。
「笑いすぎ」
「だってお前……! あ、ああ、違う違う、ごめん渉ちゃん。バカにしてるわけじゃないから」
笑いながら言われても何の説得力もないんですけど!



