それでも君と、はじめての恋を



「へー。レディースもあるんだね」


普段あまり来ることのないメンズブランドの階で、モモが入った店はアクセサリーショップ。


「いらっしゃいませー」という店員の声を聞きながら、ウッド調の店内を見渡す。シルバーやレザーアイテムがズラリと並んでいて、いかにもネイティブアメリカンって感じ。


おにぃや佐野くんも好きだから存在は知っていたけど、入るのは初めてだった。


「ここのアクセ好きなの? ていうかモモって街に来るとき何してるの?」


ひとまず店内を見て回るモモの一歩後ろを歩きながら尋ねると、モモはガラスケースに飾られている財布を眺めて口を開く。


「服とか……バングルとかピアス買いに」


あたしとそんなに変わらないんだなと思ってすぐに、ふと感じた疑問を投げかけてみた。


「そういえばモモってネックレス付けないよね」


いつも手首と耳には何かしら付けてるけど、ネックレスは一度も見たことがない。


「嫌いなの?」

「や、……苦手?」


葵みたいに眼鏡の類が苦手なのと一緒かな。

重いとか不快さがあるみたいで、純もあんなチャラチャラしてる割にネックレス以外は身に付けない。


指輪は特に嫌いだとかなんとか。あたしにはよく分からない感覚だけど、またひとつモモのことが知れた。


「あ。この財布モモのと形一緒だ」

「……」

「モモの財布ってここで作ってもらったやつでしょ?」


ガラスケースの中にあるキャメル色のレザー財布を指差すと、なぜかモモが少し驚いてる。


「……え、あれ!? 違った?」


形が一緒なだけで色も使ってるパーツも全く違うけど、初めてモモの財布を見た時からここのブランドだと思ってたんだけど……!


「や、合ってるけど」

「けど?」

「よく分かったね」


そこ?と思って首を傾げると、「あれ!?」と背後から聞こえた声に振り向く。