それでも君と、はじめての恋を



「……う、あ、だ、だよねっ!」


何を赤くなってるんだあたしは!


「だって、寶ってイメージじゃないし……」


……嘘デス。

単純に“あたしだけ”の何かが欲しかっただけで。


そんなの恥ずかしいから言えないけど、まさかモモから“渉だけ”なんて言われるとは思ってなくて。


……モモの顔、見れない。


スンッと意味もなく鼻をすすって、何とか羞恥心を落ち着かせようと足元に視線を落とした。


すると、モモの歩調が少し遅くなったことに気付く。

不思議に思って隣を見上げると、モモは駅ビルのひとつを見ているらしかった。


主にファッションブランドを取り扱ってる8階建のビル。駅の2階コンコースとビルの2階が繋がっているから、真っ直ぐ歩いて行けば簡単に入れる。


「服でも見たいの?」

「ちょっと。……いい?」


そんな風に聞いて来るモモに対してめずらしさもあったけど、モモから行きたい場所が聞けたことも嬉しくて。


「うん、大丈夫! 行こうっ」


先程までの羞恥心も忘れて大きく一歩踏み出す自分って単純だなぁと思いながら、ファッションビルへ向かった。