それでも君と、はじめての恋を



「モモ、じゃんけんしよう!」

「……何で?」

「負け……勝った方が、行き先決めるゲームね」


グーを前に差し出すとモモは無表情で少し沈黙を落としてから、拳を出した。


「まさかもう行く店浮かんでる?」

「全然」


ふるふると頭を左右に振ったモモに笑ってから、「いくよ」と声を掛ける。


「じゃーんけん……」


あたしが勝ったら、どこにしよう。






「モモって絶対コーラだよね」

「そうでもない」

「……」

ストローを口に含んだモモが吸い上げたのは、明らかにコーラだと思うんですけど。


ガヤガヤと賑わう店内は、主に10~20代のお客さんで埋め尽くされていた。


会計と商品の受け渡しを済ませたあたしとモモは、店外にある席へと向かう。


丸いテーブルと2つの椅子が3セット置かれていて、そのひとつに腰掛けた。


じゃんけんに勝ってしまったあたしが選んだのは、普通にマック。無難だけど喉が渇いたと言ったモモがいつも飲むのはコーラだったなと思って。


「スタバとかドトールとか行かなそう」

「……だね」


自分でも行かないと思ったのか、モモは納得してみせた。

あたしはよく葵に連れていかれるけど、フラペチーノとかコーヒー飲んでるモモって想像つかない。ていうか似合わない。なんて失礼なことを思いながら自分のストレートアイスティーに手を伸ばす。