「モモ、じゃんけんしよう!」
「……何で?」
「負け……勝った方が、行き先決めるゲームね」
グーを前に差し出すとモモは無表情で少し沈黙を落としてから、拳を出した。
「まさかもう行く店浮かんでる?」
「全然」
ふるふると頭を左右に振ったモモに笑ってから、「いくよ」と声を掛ける。
「じゃーんけん……」
あたしが勝ったら、どこにしよう。
*
「モモって絶対コーラだよね」
「そうでもない」
「……」
ストローを口に含んだモモが吸い上げたのは、明らかにコーラだと思うんですけど。
ガヤガヤと賑わう店内は、主に10~20代のお客さんで埋め尽くされていた。
会計と商品の受け渡しを済ませたあたしとモモは、店外にある席へと向かう。
丸いテーブルと2つの椅子が3セット置かれていて、そのひとつに腰掛けた。
じゃんけんに勝ってしまったあたしが選んだのは、普通にマック。無難だけど喉が渇いたと言ったモモがいつも飲むのはコーラだったなと思って。
「スタバとかドトールとか行かなそう」
「……だね」
自分でも行かないと思ったのか、モモは納得してみせた。
あたしはよく葵に連れていかれるけど、フラペチーノとかコーヒー飲んでるモモって想像つかない。ていうか似合わない。なんて失礼なことを思いながら自分のストレートアイスティーに手を伸ばす。



