それでも君と、はじめての恋を



「1年の時から知ってる」

「……」

「う~ん。桃井の言う通りだねぇ~」

「渉、付き合う前から恥ずかしいとこ見せまくってるからね。今更どうってことないでしょ」


葵の言葉にモモは頷いて、あたしは恥ずかしさのあまり顔に熱が集まる。


「そ、れは……! そうだけどっ!」


留年の危機だったのもバレてたし、頭悪いから勉強教えてもらってたし、メイクが中途半端な顔だって見られたことありますけど!

モモに好きだなんだって連発したこともあるけど! 1年の時から知ってるってわざわざ言わなくても!


「あたしはモモの中でどんなイメージなの!」

「……優木のことになると熱くなる」


そう言ってかすかに微笑んだモモに顔の赤みが増した。自販機の前で見せた笑みと、全く一緒だったから。


今日モモから感じた視線は全部、葵のことを考えてる時だった。


「おやおやぁ~? 何をそんなに恥ずかしがってるのかな、渉ぅ~」


くそっ……黙れバカ純!


「まあ、七尋にはちゃんと埋め合わせしてって言うから。もうあたしのことは心配しなくていいよ?」

「何でそんな上から目線なの……!?」

「良かったね渉。恥ずかしいとこ1年の時から知られてても、今付き合ってるもんね」

「ぎゃ――! やめて葵のバカ!」


頭に浮かんで、それでも必死にかき消したものがまた溢れ出てしまう。