それでも君と、はじめての恋を



「……」

手に残ったピアスをしばらく見つめて、ポーチの中に入れてからカバンのチャックを閉める。


……うん、よし。大丈夫。
もうすでに恥ずかしいんだから、これ以上恥ずかしくなっても問題ナイ!


「モモッ!」


勢い良く立ち上がるとモモは「ハイ」と少し驚きながら言って、あたしは心臓が口から飛び出そう。


「……っ、……を」

「何て?」

「ッテ、を……」


そんなに見なくてもいいと思う……! あたしが口ごもる時だけジッと見てくるのやめてほしいし出来るなら普段からそうしてよバカ!


「手ぇ出してっ」

「……?」


そうじゃない! 何か貰う気してるんでしょうけど、手の平は上じゃなくて! 握手する感じで良かった!


ああでも差し出されてるどうしよう叩く!? 乗せる!? そして握る!?


「渉?」


全部無理でした。

待って。あと3分くらい待ってくれると有難いんだけど色んな意味でこの状況に耐えられない。



「つ、繋ぎたい」

「……」

「手、繋ぎたいだけ……デス」


言っちゃった。ほんとは言わないでサラッと手を繋いで、フフンって余裕な感じで歩き出したかったとか、ね。無理でした。


恥ずかしくてモモの顔が見れないんだけど、恐る恐る見てしまうのは反応を知りたいから。