それでも君と、はじめての恋を



――『おにいちゃんずっとなやんでて、おかあさんにダメな子ねって言われてました。おにいちゃんはダメな子じゃないので、湊がかわりにつつみました。ちゃんとわたせたかなあ?』


きっとプレゼントだから、金色の折り紙。それで多分、目のつり上がった無愛想なこのネコは、モモだ。


――もう、本当にバカ。湊ちゃんは可愛くて、こんなに気が利くのに。モモって本当にダメだ。ダメすぎ。ダメ男。


だけど。


「それ、ピアス。……渉に」


知ってる。手紙で湊ちゃんが暴露してるもん。理由は書いてないけど、あたしはそこまで鈍くない。


「……何でピアス?」


俯いたままのモモに尋ねるあたしは相当意地悪い。だけど聞きたい。言ってほしい。


こんな昇降口の真ん前でしゃがみ込んで、帰る生徒や部活動を始めようとしてる生徒の視線が、好奇で満ち溢れていても。


「ねえモモ。何で、あたしにピアスをくれるの?」


1秒、2秒、3秒。固まっていたモモは、ゆっくりとあたしに顔を見せてくれる。


「2、ヵ月……記念日? ……だから」


モモの言葉が途切れるたびに、あたしの口の端は上へ上へと上がって、モモの頬はピンク色に染まった。


「……安もんだけど」


思いっきり視線を横に向けて、片手で口を覆いながら言うモモの言葉はくぐもってる。