それでも君と、はじめての恋を



「……ピアス」

「見れば分かるし言葉が少ないっ!」


声を張るあたしにモモは心底困った顔をして、視線を逸らした。きっと本当に、何でピアスがここにあるんだと思ってる。


モモのことだから、妹さんに渡してと言われて中身も確認せずに、頼まれたからあたしに渡しただけなんだ。


「俺が買った……ピアス?」


何で疑問系になっちゃうの。


あたしの突き刺すような視線に耐えられず、モモは首に手をあてて俯いてしまう。


手紙は全て妹さんからだけど、金色のネコに入っていたピアスはモモからでしょう?


四角いスワロフスキーが縦に4つ連なって、光りを反射するたびオーロラに輝く。


明らかに女物の、買うだけ買って渡すのを躊躇ったピアス。


ねえ、モモ。そうでしょう?


モモが妹――湊(みなと)ちゃんと仲がいいのは知ってる。送り迎えとか遊び相手とか、ちゃんとお兄ちゃんをやってるのも知ってる。



――『はじめまして。おにいちゃんのいもうとの、湊です。わたるちゃんのほしいモノ、おにいちゃんに教えてあげてください』


手紙なら手紙だと、言ってほしかった。ただ折り紙で作られたウサギを渡されたって、分からないのに。


――『きょう、おにいちゃんはわたるちゃんにプレゼント買いにいきます。よろこんでくれるといいな』


妹と買い物に行くとは言ってたけど、折り紙のクマにこんなことが書いてあるなんて知るはずがなかった。