「モモのバカ!!」
顔をあげて叫んだけれど、あたしがしゃがみ込んでいたことに気付いたのか、思いの外近くに歩み寄っていたモモは目を見開く。
「バカでしょ! 何なの!」
「……急にどうし、……!」
不可解そうに眉をひそめたモモが再び目を見張ったのは、あたしの手に持たれた物を見つけたから。
「待って、それ……」
目の前まで来て手を伸ばしてきたモモから、3枚の折り紙を守るように胸へ抱いた。
下から睨み上げるあたしにモモは折り曲げていた腰を伸ばして、片手で口を覆う。視線はもちろん、あさっての方向。
しくじったとか、どうしようとか。多分そんなことを思ってるんだろうけど、関係ない。
モモはチラリとあたしを見下ろして、逸らされない視線に観念したのかしゃがみ込んだ。
同じ目線になったモモはあたしの目を見ないで、地面ばかり見る。説明してほしいのに口も開かない。
こういう時こそあたしを見てよ。ちゃんと話してよ。そう思うのに、嬉しさが勝るんだ。
いつも、いつも、モモは予想外のことしかしないから。
「……これ何?」
「……」
「モモ」
「……知らない」
「知らないわけないでしょ! 分かってるくせに!」
ヤンキーがうなだれてるようにしか見えないけど、モモはやっと顔を上げた。あたしではなく、あたしの手に持たれた物を見つめて。



