「頑張る……!」
葵に手を振り返して、先に歩き出していたモモの背中を追った。教室を出てモモの隣に並ぶけど、やっぱり繋がれないままの右手が寂しい。
……繋いでみようかな。
いや、下駄箱があるし校舎を出てからの方が……やっぱり校門を出てからにした方がいいかな。いやでもあんまり遅いと緊張で手に汗かいちゃうかもしれないし……。
「渉」
「はい!?」
ビクッとしたあたしと同時にモモまで肩を跳ねさせて、互いの顔を見つめ合う。どうでもいいけど心臓が口から飛び出るかと思った。
「ご、ごめん。何?」
バクバクと鳴る心音を感じながら、いつの間にか下駄箱前まで来てたことに気付く。
「……大丈夫?」
「うん? うん、大丈夫、元気!」
あんまり大丈夫じゃないけど、何を考えてたのか悟られたくないから大丈夫ってことにしとく。
やっぱりモモは納得してない表情をしたけど、声を掛けた理由を優先したみたいだった。
「あ」
「……妹から」
気付いたあたしにモモが差しだしたのは、金色の折り紙。
よくよく見ると、今日はネコだったのが分かった。睫毛もないし、眼がつり上がってるからオスかな。
「すごい金色」
折り紙の金って、こんなに光ってたっけ。
自分の上靴を下駄箱に入れてローファーを取り出してから、受け取ろうと手の平を上に向ける。そこにポンとモモが折り紙を置いた。
……ん? ……あれ?



