「今日は帰れる」
「……」
まるで昨日、一昨日と帰れなかったのを詫びてるように言ったモモ。それが、ほんの少しでもあたしを気に掛けてくれてたのかなと思って、にやけてしまいそうになる。
「……嬉しい」
そう伝えるとモモは目を逸らして「うん」って言うだけで、歩き出してしまった。
その背中に飛びついても、ほんとに背負い投げされないなら抱き付いてみたい。それで、どんな反応をするのか見てみたい。
予想を裏切らない反応をしそうだけど、まだ楽しみにとっておくことにした。
……モモの貴重な照れ顔は、別のことでも見れるしね。
もう今日は記念日で、何か特別なことをするにはノ―プランすぎて、きっと大したことは出来ない。ほんとはふたりで計画立てたりしたかったんだけど、今回はいいや。
記念日だけど、大したことも出来ないけど、一緒には帰れる。
それならあたしはモモに好きだと連発するだけでいい。
告白した時と告白された時以来、好きだと言ってないから。
浮かんでは弾け続ける炭酸の泡みたいな恋心もいいけど、溢れだして零れるほどの恋心は伝えなきゃもったいない。
だから今日は好きだと言って、モモの照れ顔を見せてもらうの。
たったそれだけのことが特別でもいいんじゃないかなって、思った。



