それでも君と、はじめての恋を




「あ、渉だー」


記念日の朝、携帯を見ながら通学路を歩いていると横を通った友達2人に声を掛けられる。


「ねねっ! 今度さぁ、誰か紹介してくれない?」

「んー、いいよ」


隣に並んだ友達に笑顔を向けながら、ぼんやりおにぃの友達を思い浮かべた。


「やった! あたし最近強面の人好きでさー。彼氏の仲間にいるっしょ? そんな感じでよろしく!」


それだけ言って先に歩いて行く友達にポカンとする。


今何て言った? こわもて……はいいとして、彼氏の仲間?

次はそんな噂が流れてるのか。友達じゃなくて仲間ってのが何とも悪そうな雰囲気が出てるけど、モモが悪いのは眼つきと雰囲気だけだから、な……。


「……」


学校に向かう生徒が溢れてる中で、他の人より身長が高くて髪色がピンクとあればすぐに誰だか分かってしまう。


少し周りに避けられながら、のんびりと歩くモモの後ろ姿。

きっと眠いかダルイだけなんだろうけど、とりあえずあの背中に抱きつきたい衝動に駆られる。


急に後ろから抱き付かれたら、どんな反応するんだろう。


すぐにあたしだって気付くかな? それで赤面してくれたらあたしの心臓溶けると思う。


抱き付きたい欲はあっても実行する勇気はまだちょっとないんだけども!