それでも君と、はじめての恋を



「恋愛初心者丸出しで恥ずかしい!」


人にはあれこれ言うくせに自分のことになると本当に、本当にもう……ダメっぷりを発揮してすみません。


「何言ってんの。悩むのなんてみんな一緒でしょ」


目をぱちくりさせると、葵は「遊ぶの、遊ばないの?」って微笑んでくれる。


「あ……遊ぶーっ! 葵好き!」

「え~俺のことはぁ? 俺も遊ぶ~」


チャラ男は引っ込んでろ!

ギロッと睨むと、純はヘラヘラと笑うだけ。


「ハイハイ。悩みなんかない奴は置いてってさっさと行くよ」


カバンを肩に掛けた葵は立ち上がって、あたしも手帳をカバンに入れて立ち上がる。


モモの机に腰掛けていた純もピョンと床に足を付けて、教室のドアに向かうあたしと葵の後ろをついてきた。


「ね~、アイス食べたくない?」

「アンタ店員までナンパするから嫌。ひとりで買って食べれば?」


純と葵の会話を聞きながら、教室を出る前にチラリと黒板に目をやる。


白いチョークで書かれた日付はいつも放課後に変わって、今日も日直がすでに日付を書き変えていた。



4月14日。


……明日は2ヵ月記念日だってことを、モモは分かっているのかな。