それでも君と、はじめての恋を



「うわぁ。ゾンビみたいだよ、渉ぅ」


ガックリと頭も肩も下げて教室に戻ると、モモの机に腰掛けていた純が声をかけてくる。


「今日もダメだったのぉ~?」


見て分かるでしょバカ純。あたし何か背負ってるでしょ。ブルーのオーラ的なものが背後にこう、見えるでしょ!


「ドンマイだよ」

「心を込めて言って!」


自分の席に座っていたままの葵は肩をすくめるだけで、あたしは渋々もう一度自分の席に腰掛けた。


机の上に置きっぱなしにしていた折り紙のクマを手に取って、深い溜め息。


「……モモは、妹さんにあたしの話をしてるのかな」

「じゃなきゃ、折り紙なんてよこさないんじゃない?」


葵の答えを耳に入れながら、カバンの中から手帳を取り出す。

これまた派手なドピンクの手帳の内ポケットには、昨日貰ったウサギをしまっていた。


そこにクマも仲間に入れておくと、純が「それにしてもさぁ」と話し出す。


「今時の小学生が折り紙なんてするんだねぇ~」

「小学生が携帯持つ時代なのにね」


言われてみれば……まあ、そうなの? 最近まで幼稚園行ってたなら、まだやるんじゃないかっても思うけど。


そもそも何で急に折り紙なんだろう。昨日も今日も聞けなかった。