「てか何で桃井 寶を狙ってんの?」
「いやいや、だって顔はカッコイイじゃん! あんなの彼氏だったら自慢出来る!」
「あー写真は見せたいかも」
「いやちょっと……! 何それ!」
確実に本気で好きだとは思ってないよね!?
「何それって! だってあの桃井 寶といるのに、顔がいいから以外に何の得が……っ!」
「やっばぁ……」
「……あ~あぁ」
振り向かなくても、目の前のクラスメートの表情と純の溜め息で分かってしまう。
コンッと、薄いガラス窓を叩く音に、尋常じゃないくらい鼓動がはねた。
「……っ」
振り向いて目が合ったモモは、いつもと同じ。いつもと同じ無表情なのに……とても冷たく感じた。
「お~う、桃井。どしたの~?」
振り向いたまま身動きが取れずにいたあたしの代わりに、後ろから純が窓の鍵を開けた。
冷えた空気が頬に触れて、全身が寒くなる。



