乾いた笑いしかできないのは、あたしも最初怖がっていたからなのもある。でもそれよりも、モモのことをちゃんと知ってほしいと思えなかった。
葵と純の時は、モモはいい奴だって知ってほしかったのに。
「つか、桃井は渉だから話すんじゃん?」
まるで他の人には怖いままだとでも言うような葵の発言。それに便乗するように、黙っていた純も口を開いた。
「そーそー。桃井、俺らともそんなに喋んないしねぇ~」
……ふたりとも、嘘ばっか。
でも、それでクラスメートの興味がモモから逸れたらいい。……なんて、こんな独占欲が自分にあったことに驚く。
「あー、やっぱりそうなんだ? ま、渉だしねーっ!」
「だよね。簡単でしょっ? 桃井 寶落とすのなんて」
「渉に攻められたら、そりゃあ一匹狼も騙されちゃうよねぇ」
「「「……」」」
ちょ、待て。
何だその、あたしの軽々しい感じ!
まるであたしがモモをたぶらかしてるみたいじゃんか! ていうか騙すって何だ! 騙してないよ!?



