それでも君と、はじめての恋を



「桃井ってムッツリっぽいよねぇ~」


椅子を揺らしながら、ケラケラと笑う純に殺意を覚える。


「紳士にみせかけて実は心の中では……的なね」

「ちょっと! モモがそんな変態なわけないじゃん!」


「どうかなぁ~?」なんて言うふたりに眉を寄せると、クラスメイトに名前を呼ばれる。


見ると、この前モモがクラスに来た時に詰め寄ってきた面子だった。


「ねーねーっ! 渉ってやっぱさ、桃井 寶にチョコあげんの!?」

「はい!?」


いや、あげるけども。いつから話を聞いてたんだ!


「てかさぁ、最初はビックリしたけど、渉ならやれそうだよねー」

「桃井 寶のこと狙ってるんでしょ?」

「いや……まあ、ん?」


なにゆえ、あたしがモモのことを好きなことまでバレているのか。


呆気に取られていると、クラスメイトは盛り上がっているようで次々と話し出す。


「怖くないの? 桃井 寶って」

「いや……怖くないよ」

「えーっ! マジで? よく話せるなって言ってたんだよ、ウチら」

「はは、マジで」