それでも君と、はじめての恋を



ぽすっと窓に手を付くモモの腕に頭を預けると、気付いたモモがあたしに視線をよこす。


「ラクちん」


ニッと口の端を上げたら、モモは目を少し見開いてから悔しそうな顔をした。


きっと葵だったら、「この野郎」って言いそうな。そんな、表情。


「あはっ! 今日のお昼、何か奢る」

「……いいよ、別に」


そう言って、あたしを満員電車から守ってくれるモモ。


勉強会の時なんかよりもずっと、ずっと近い距離。


頭から伝わる、モモの温度。微かに香るモモの香水。


その全てがあたしをドキドキさせて、好きの気持ちが溢れてしまいそうになる。


「……モモ」


急き立てる。
湧き上がる。


腕じゃなくて、目の前の胸に飛び込みたい。


「チョコ……何が好き?」


このドキドキを、この想いを、早く伝えたいよ。