「……いいよ、そんな無理しなくて」
目を合わせるのが苦手なくせに、あたしの何が違うのか探るように見てくるモモの視線。
地味に威圧感があるのは、モモの目つきが悪いせいだ。
というか、あと付けまつげで終わりだし……それがあたしにとって、1番外せないものなんだけどさ。
「あ」
「え?」
もう諦めて、ストローを紙パックに差していたあたしはモモを見上げる。すると、モモは自分の口元を人差し指で差していた。
「口」
「……」
く、口? ……って、唇……?
バッ!と勢い良く、口を手で覆う。
しまった、と思ったからじゃない。あまりにも、恥ずかしくて。
「口ぃ? ……あー、グロスのこと?」
「ちちちち、違う……っ! いや、違くないけどもっ」
顔が熱い。めちゃくちゃ熱い。
何で付けまつげに気付かなくて、グロスに気付くかな!
「渉ってグロス……ははぁん。なるほどねぇ~!」
余計なこと言うんじゃねぇバカ純!



