「……ありがとう」
両腕を伸ばして、モモが差し出してくれた紙パックを受け取る。
ひんやりとした冷たさが手に伝わって、恐る恐るモモを見上げた。
相変わらずの無表情、だけど……あたしを見てる。
「やー! もうっ、見ないで!」
「あっはは! 渉ってば、照れ屋ぁ~。てか、桃井に分かるわけないじゃぁん」
「何も違わない」
グサッと、するどい刃物で胸を一突きされた気分になる。
そりゃ、気付かれても困るけど。分からないって言われるのも、悲しい。
純はさすがチャラいだけあってすぐに気付いたけれど、やっぱりモモには分からないんだな……。
あたしのこと、そんなに見てるわけじゃないって言われたみたい。
「……モモのバカ」
少し睨みながら廊下に立つモモを見上げると、モモはまた言われたって表情をする。
この前4人で遊んだ帰りにも、あたしはモモにバカと言ったから。



