『もしもし?
お久しぶりです。私だけど…』


部屋に駆け込んだ私は机の上の携帯へ手を伸ばし、早速電話を掛けた。

ミス・料理上手サンに♪



「お嬢様ッ?
どうかなさいましたかッ??」

『えっと、あの…蘭さん?
そんな慌てなくても…』


料理上手=蘭さん

こんな公式が出来上がっても過言では無い。



この家に来るまで毎日聞いていた声。

久しぶりに聞いたなぁ…




相変わらず、だね。



『あのね、蘭さん…』

「なんでしょう?」




『その…
チョコ作りを、したいの…
教えてもらっても良いかしら…?』




久しぶりに猫を被りました☆
一応私は“お嬢様”だからね?




屋敷内でも学校でも。

ここに引っ越すまではずっと自分を繕っていたた。

そんな私に、今のここでも生活はとても新鮮で、楽しく思える。



『あの…蘭さん…?』


返事の遅い蘭さんに、私はもう1度問う。


『教えて、もらっても良いかしら?』