中年男性がそう叫ぶと、
A班の面々はすぐさま指示
された通りに動いた。
「石河君……壱加は今、
どういう状態だ?」
部屋ががら空きになった
のを見計らい中年男性は
徐に弥嘉に訊ねてきた。
「今も縄で手足をきつく
結ばれているようです。
あとは、口にガムテープ
を張られています」
「そうか。では、今より
前はどうだった?」
「あの薄暗さと、ゴルフ
バック等から推測すると
恐らくはトランクに閉じ
込められていたかと……
ちなみに、車内にいた時
から既にその状態です」
弥嘉は湧き上がる動揺を
抑えつつ淡々と述べる。
いつの間にか彼女の唇に
うっすらと血が滲んだ。
「すると、かれこれ一時
間はその状態でいたわけ
だな。あの体なら、相当
キツくなってるはずだ」
中年男性が困惑するのを
見た弥嘉は、益々表情を
曇らせていった。


