恒例になりつつある弥嘉
の落ち込み様により壱加
の堪忍袋の緒が切れた。


「だぁ~っ!!ネチネチと
うぜぇ奴だな、お前は!!
どうせ『私のせい……』
とか思ってんだろ!?そう
いうところは直せっ!!今
すぐにでも直せっ!!」

「すっ……すみません」

「能力はたまたまだろ?
それに無ければ良かった
とか言うな!!何か意味が
あって備わってんだから
粗末にすんじゃねぇ!!」


壱加の的確すぎる読心術
に驚きつつ、弥嘉は申し
訳なさそうに口を開く。


「すみません。ですが、
せめて早く彼女に会って
力を渡さなければ!!これ
以上私のせいで皆さんを
巻き込めませんっ!!」


必死にそう訴えた弥嘉を
彼は辛辣な言葉と呆れ顔
で見事に一蹴した。


「お前、馬鹿!?睦月様は
噂だが同族も殺す方なん
だぞっ!?もし易々と力を
渡したら余計被害が拡大
すんのが分かんねぇ?」

「――――!!!!!!!!!!」


それを聞くなり、弥嘉は
口を噤む羽目になった。


「まぁでも、早めに会わ
なきゃなんねぇのは一理
あるかもな。何もしねぇ
まま、尻尾巻いて逃げる
のは俺の主義に反する」

「は、はあ……」

「てめぇは、仮にも俺の
相棒だよなぁ?もしそう
ならどうするべきだ?」


いかにも挑戦的な笑みを
浮かべた壱加に、弥嘉は
いつの間にか吹っ切れた
ような表情を見せた。


「“売られた喧嘩はとこ
とん買う”ですね?」

「上等っ!!」


期待通りの答えに満足し
たのか、彼は弥嘉に手を
挙げさせそこに思い切り
ハイタッチをした。

その軽快な音が、弥嘉の
胸に心地良く響いた。




――少女は、遂に相棒と
共に女王と対峙する――




【Chapter.6 遊戯】 完