妙な沈黙に耐えきれなく
なった弥嘉は、壱加から
少しだけ離れた後小声で
一人呟いていた。


「そうだとしても、益々
分かりません。何故睦月
様ほどの方が、この様な
回りくどい方法をとるの
でしょう?まるで何かを
待っているかのような」

「……………弥嘉だろ」

「へっ!?」


突然、壱加が口を開いた
ため弥嘉は驚きのあまり
素っ頓狂な声を出した。

それを気にすることなく
彼は淡々と述べていく。


「目的は弥嘉だろ。でな
きゃ俺やあの女があそこ
までされねぇだろうし」

「えっ……どうして?」


彼女の質問攻めに苦笑を
漏らしつつ、壱加は徐に
言葉を紡いだ。




「その力は、唯一俺達が
手に入らないものらしい
からな。何としてでも、
欲しいんじゃねぇの?」




その瞬間、壱加の視線の
効果も相まってか弥嘉の
背筋は凍りついた。


『また私のせいで周りの
方々が危険に晒されるの
でしょうか!?いっそこの
“眼”が無ければ……』


弥嘉は目の前が真っ暗に
なり終いには目尻に涙を
浮かべていた。