「あ~、オレってさ、甘いもんキライなんだよ」

ピシッ!

…世界と共に、自分の表情が固まる音がした。

バレンタインデーが間近という時に、付き合い始めた彼氏から発せられた言葉はあまりに衝撃的だった。

いや、面と向かって言われたワケじゃない。

わたしは日直で、帰りが少し遅くなっていた。

彼は一緒に帰ろうと言ってくれて、それまで教室で待ってると言った。

だからわたしは大急ぎで日直の仕事を終えて、職員室から教室へ戻ると、教室からは彼と数人のクラスメートの声が聞こえていた。

そして…彼のあの言葉を聞いてしまった。

扉一枚向こうの、廊下で。

一瞬にして、目の前は暗くなり、頭の中は真っ白になった。