「彩はきっついなぁ。そういや、タイ米って仕事何やってんの?」


 双子のケンとマサが声を揃えて訊いてきた。


「いっいや、俺は……今は何もしてない……」


 その言葉を聞いて松島悟がバカにする様な口調で言った。


「マジかよ? 俺達もう四十だぜ? ケンとマサ、仕事紹介してやれよ?」


「ん〜、今までの経歴で、それが合えば仕事紹介出来るけど、じゃあタイ米の簡単な経歴教えてよ?」


 双子のケンとマサに、更に過酷な質問をされた。

 俺は高校を出ると家に篭っていたから一度も職歴などない。

 両親と弟の四人家族だが、両親は公務員で安定した収入を得ているし、二つ下の弟は俺と違いエリートでパイロットをしていて、現在結婚し海外で暮らしている。俺は今だに両親に面倒をみてもらっているのだ。

 もちろん両親は呆れているが、俺は、親が子供を食わすのは当たり前だろうと思っている。

 困った何て答えよう? 本当の事は言えない。