キッチンに入ると立派な調理器具や家電製品が目をひいた。

　俺はまず冷蔵庫を開けると、高級品の食材がぎっしり詰まっていたので、置かれてある料理のファイルを見ながら食材を取り出した。

　料理なんて始めてしたのだが、思いのほか作り方が詳しく書いてあったので、二時間後、九人分全ての料理が完成した。

　俺は食台に料理を乗せ、食堂に運び、一人一人のテーブルの前に置いてまわった。


「ヤルじゃんタイ米！　お前料理得意なのか？　すげ〜美味そう！」


　そういきなり誉めたのはマジタニだ。


「ホント！　すごく美味しそう。ありがとうタイ米」


　飛び切りの笑顔でひとみに言われると俺も悪い気はしない。

　他の奴らは、俺に何も言わず会話をしながら、それぞれ食べ始めた。

　俺の席は一番端らしい。一つだけぽつんとイスが空いている。

　黙って席に着き、料理を食べてみたが我ながら美味しかった。高級な食材は違うものだなと思っていると、


「タイ米さぁ、あんたが作った料理は、ウチ専属のシェフとは全然違うね。あんた、マジタニとひとみに誉められて喜んでるかもしれないけど、私は満足しないよ！　いい気にならないでよね！」


　竹山彩が相変わらず毒舌を吐いた。