みんなは、竹山彩が遊技場を出て行くと、それぞれがビリヤードと卓球を再開した。俺はイスに座って紅茶を飲んで、みんなを眺めていたが、タバコを吸っている田中に話しかけられた。


「お前これ片付けろよ」


 カップを渡された。どうやらみんな飲み終えた様だったので、食台に全員のカップを乗せキッチンに向かった。

 このカップを洗えば睡眠薬が入っていた形跡は消せるだろう。

 俺はキッチンに入り全てのカップを洗うと、すぐに竹山彩の部屋に向かった。

 寝てるだろうなぁ? もし寝てなければ、騒がれて何て言われるか分かったもんじゃない。

 螺旋階段を小走りに上り、三階に着くと竹山彩の部屋の前まで来た。

 俺はポケットから竹山彩の部屋の鍵を取り出した。何故俺が持ってるのかというと、各部屋に荷物を運んだ時、机の上にカギを置いておけと言われていたから、それを利用したのだ。

 俺は自分の部屋のカギについた部屋番号が書いてあるキーホルダーを外し、カギだけを竹山彩の部屋のカギと摩り替えて、机の上に置いた。カギは部屋番号のキーホルダーがついてなければ、区別が難しい。竹山彩が中からカギをかけても、俺は簡単にカギを使い、開けられるって寸法だ。そして竹山彩の死体が発見された後に、隙を見て俺のカギと竹山彩のカギを、元のキーホルダにつけかえればいいだけだ。

 そして俺はまずドアノブを回したが、やはりカギがかかっていた。

 すばやくカギを使い、中に入ると汚い顔をしたメス豚がイビキをかいていた。

 脱衣所に置いてあるタオルを調達し、俺は一気に竹山彩の首を絞めた。するとあっけなく息耐えた。

 そして脱衣所まで運び、ドアノブにくくりつけ、足を投げ出した格好で座らせた。自殺に見せかける作戦だ。

 俺は用心しながら竹山彩の部屋にカギをし、足早にキッチンへ向かった。

 キッチンに着くと一安心した俺は、冷蔵庫に入っていたビールを飲みニヤニヤした。